
山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』(トイプードル通信2017年4月号より)
今月の課題図書は
山崎ナオコーラ
『人のセックスを笑うな』
山崎ナオコーラはすごい。とにかくすごい。
それはもう間違いのないこと。
彼女の作品を読むたびに私の中で称賛の嵐が吹き荒れるのです。
特に好きで、何度も読み返しているのが、この小説「人のセックスを笑うな」。
登場人物達の距離感が、ちゃんと血が通っているのに、絶妙にライトでとても良い。
39歳の女と19歳の男の不倫ストーリーなんですけど笑
なぜか春風が吹くように甘くて爽やかなのです。
恋をしてみると、形に好みなどないことがわかる。
好きになると、その形に心が食い込む。そういうことだ。
オレのファンタジーにぴったりな形がある訳ではない。
そこにある形に、オレの心が食い込むのだ。
あのゆがみ具合がたまらない。忘れられない。
わたしも誰かの心を歪ませたいぞよ・・・笑
映画化されたときの挿入歌になった「Angel」の、ふわりと軽やかなポップスが小説の背後に流れています。朝に聴きたい感じや。
「Angel」を歌う武田カオリさんは、同じ事務所の「川上つよしと彼のムードメイカーズ」のメンバーでもあって、尊敬する先輩でもあるのです。
山崎ナオコーラさんの作品は軽やかさを持ったものばかりではないけど、距離感が絶妙なものが多いかな。
登場人物達の距離感もだし、読み手との距離感も。
軽薄とは全然違う、細い糸で繋がれているだけの、距離のある人間関係。
それを握りしめたり、緩めたり、あっさり手離したりしながら、でも決してむやみに手繰り寄せることはしない。
イメージトークですいません笑
だけど距離感が心地よいのです。
冬のお話だったかもしれないけど、私の中では春風を感じる小説なので、
よかったらふわり春を感じながら、読んでみてください。
おやすみ、
おはよう
では、また会う日まで
オトザイサトコ