
森茉莉『贅沢貧乏』(トイプードル通信2017年5月号より)
今月の課題図書は
森茉莉
『贅沢貧乏』
初めて森茉莉を読んだのだけれど、それがこの「贅沢貧乏」というエッセイ。
これが面白かったので、今は小説(恋人たちの森)を読んでる。
森茉莉は、森鴎外の娘で、蝶よ花よと鴎外に溺愛されて育った生粋のお嬢様。
鴎外の精神を受け継ぎ、耽美的で、幻想的な文章を書く人です。
アネモネのことを“アネモウヌ”と書いたりするパリかぶれな所や、隅から隅まで少女のような甘い美的感覚を、
ボロアパートの狭いお城に詰め込んである。
「贅沢貧乏」では、そんな森茉莉の生活における偏愛が語られています。
時にロマンチックで、時にすごく自虐的、奔放な文章が面白かった。
小さい時って何かにすごく固執することってありませんでしたか?
私は、千代紙や、外国の猫の絵のついた缶とか、硝子製のキーホルダーとか(全部もらいもの)、
なんであんなものが大事だったのだろう~って今になったら思うようなものを、美しいと思い、大事に大事に愛でてました 笑
あれらはどこへ行ったのだろうか・・・。
そんなかつての宝物を、このエッセイを読んで思い出しました。
だいたい贅沢というのは高価なものを持っていることではなくて、贅沢な精神を持っていることである。
茉莉のように、“貴族の精神”は私は持ち合わせていないけれど、
偏愛ならいくらかありそうです。
例えば、本。
そういえば、私は本に関しては、図書館で借りるということは一切ないんです。
一冊でも多く持っていたくて、本棚の前で並べたそれらを眺めるのが趣味というか(笑)、
部屋が狭いのに、「宝物の一冊になるかもしれない」、「心が潤うのであれば」等々理由をつけて、
多少高くても欲しい本があると無理をして買ってしまう。
おかげで今実家には本がぎっしり詰まったダンボールが山積みされている状態です・・・
いつか、天井まで本棚がある家に住む予定なんですけど、
まさに「贅沢貧乏」で、それもまだまだ叶いそうにありません。
おやすみ、
おはよう
では、また会う日まで
オトザイサトコ