Otona no Kadaitosho

2018.09.7

山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』(トイプードル通信2017年4月号より)

今月の課題図書は

山崎ナオコーラ

『人のセックスを笑うな』

 

 

山崎ナオコーラはすごい。とにかくすごい。

それはもう間違いのないこと。

彼女の作品を読むたびに私の中で称賛の嵐が吹き荒れるのです。

特に好きで、何度も読み返しているのが、この小説「人のセックスを笑うな」。

登場人物達の距離感が、ちゃんと血が通っているのに、絶妙にライトでとても良い。

39歳の女と19歳の男の不倫ストーリーなんですけど笑

なぜか春風が吹くように甘くて爽やかなのです。

 

 

恋をしてみると、形に好みなどないことがわかる。

好きになると、その形に心が食い込む。そういうことだ。

オレのファンタジーにぴったりな形がある訳ではない。

そこにある形に、オレの心が食い込むのだ。

あのゆがみ具合がたまらない。忘れられない。

 

 

わたしも誰かの心を歪ませたいぞよ・・・笑

映画化されたときの挿入歌になった「Angel」の、ふわりと軽やかなポップスが小説の背後に流れています。朝に聴きたい感じや。

「Angel」を歌う武田カオリさんは、同じ事務所の「川上つよしと彼のムードメイカーズ」のメンバーでもあって、尊敬する先輩でもあるのです。

 

山崎ナオコーラさんの作品は軽やかさを持ったものばかりではないけど、距離感が絶妙なものが多いかな。

登場人物達の距離感もだし、読み手との距離感も。

軽薄とは全然違う、細い糸で繋がれているだけの、距離のある人間関係。

それを握りしめたり、緩めたり、あっさり手離したりしながら、でも決してむやみに手繰り寄せることはしない。

イメージトークですいません笑

だけど距離感が心地よいのです。

冬のお話だったかもしれないけど、私の中では春風を感じる小説なので、

よかったらふわり春を感じながら、読んでみてください。

 

おやすみ、

おはよう

では、また会う日まで

オトザイサトコ