今月の課題図書は、

川端康成

『片腕』
 
 
川端康成。

誰もがその名を知っている文豪ですが、

『伊豆の踊子』に並ぶ代表作、

『眠れる美女』を読んだことがありますか？

新潮文庫版『眠れる美女』のあとがきは三島由紀夫が担当しており、

「その執拗綿密な、ネクロフィリー（死体愛好症）的肉体描写は、およそ言語による観念的淫蕩の極致と云ってよい」

と三島に言わしめている名作です。

文庫版『眠れる美女』の中には、『片腕』という短編も収録されており、

私は特にこれが好きなのです。
 
 
 
「片腕を一晩お貸ししてもいいわ」と娘は言った。

そして右腕を肩からはずすと、それを左手に持って私の膝においた。
 
 
 
というなんじゃこりゃ？？となる一節で始まるこの小説は、

恋する娘の腕を一晩借り受けて、一夜を過ごす男の物語。

退廃的なエロスの香りの漂う、美しくて少し怖いお話です。
娘の腕を持ち帰った夜、静かなアパートに響く、

雨の音が聞こえてきそう・・・

実は、私の最新曲「トリカエタイ」は、

この小説をヒントに生まれました。

歌詞はこんなかんじ。
 
↓↓↓
 
「トリカエタイ」

作詞作曲：オトザイサトコ
 

トリカエテ　トリカエテ

私とあの子の顔を

私とあの子の人生

トリカエテ　トリカエテ

私はあの子になりたい

あの子みたいに光ってたい

あなたを狂わす笑顔で　かよわくて大胆な仕草で

 

前を行くあの子を　目線で追うあなた見てたら

胸が苦しくなっちゃった

居たたまれなくなっちゃった

あなたの頬を両手で強く挟んでこっち向かせても

心はもう戻らない　遠くへいっちゃった

 

風がめくるカレンダー

いつまでも　どこまでも真っ白なウィークエンド

 

トリカエテ　トリカエテ

私とあの子の顔を

私とあの子の人生

トリカエテ　トリカエテ

私はあの子になりたい

あの子みたいに光ってたい

あなたを狂わす笑顔で　かよわくて大胆な仕草で

 

友達って言葉はやたら使い勝手がいい言葉で

今までの罪を中和して離れてゆける

温もりを求めたら

なんでなんだろう？逆に冷えていくウィークエンド

 

ツケカエテ　ツケカエテ

あたしとあなたの腕を

抱きしめられて眠りたい

ツケカエテ　ツケカエテ

惨めな思いはしたくない

その手で涙拭いてよ

心はやれないと言うなら　あたしにその腕くださいな

 

わかっているわ　わかってるわ

あなたは私を愛さない

愛してるというセリフすら　押し売りになってしまうだろう

黙ってるのは弱いことでしょうか

 

トリカエテ　トリカエテ

私とあの子の顔を

私とあの子の人生

 

ツケカエテ　ツケカエテ

あたしとあなたの腕を

抱きしめられて眠りたい

 

私にくれないその腕で

今頃あの子が眠るよ

・・・・・・・
トリカエタイの主人公は女性ですけれども、

男女限らず、恋というのは、その人を独占したいという気持ちでしょ？

その人の全部がもらえないなら、せめて一部だけでも・・・

そんな風に思うのは変でしょうか？

 

ちょっと奇怪な恋愛小説、「片腕」

雨の夜にぞわぞわしながら読んでみてね。
 
 
 
おやすみ、

おはよう。

では、また会う日まで。

オトザイサトコ