Otona no Kadaitosho

2018.09.7

森茉莉『贅沢貧乏』(トイプードル通信2017年5月号より)

今月の課題図書は

森茉莉

『贅沢貧乏』

 

 
初めて森茉莉を読んだのだけれど、それがこの「贅沢貧乏」というエッセイ。

これが面白かったので、今は小説(恋人たちの森)を読んでる。

森茉莉は、森鴎外の娘で、蝶よ花よと鴎外に溺愛されて育った生粋のお嬢様。

鴎外の精神を受け継ぎ、耽美的で、幻想的な文章を書く人です。

アネモネのことを“アネモウヌ”と書いたりするパリかぶれな所や、隅から隅まで少女のような甘い美的感覚を、

ボロアパートの狭いお城に詰め込んである。

「贅沢貧乏」では、そんな森茉莉の生活における偏愛が語られています。

時にロマンチックで、時にすごく自虐的、奔放な文章が面白かった。

 

小さい時って何かにすごく固執することってありませんでしたか?

私は、千代紙や、外国の猫の絵のついた缶とか、硝子製のキーホルダーとか(全部もらいもの)、

なんであんなものが大事だったのだろう~って今になったら思うようなものを、美しいと思い、大事に大事に愛でてました 笑

あれらはどこへ行ったのだろうか・・・。

そんなかつての宝物を、このエッセイを読んで思い出しました。

 

 

だいたい贅沢というのは高価なものを持っていることではなくて、贅沢な精神を持っていることである。

 

 

茉莉のように、“貴族の精神”は私は持ち合わせていないけれど、

偏愛ならいくらかありそうです。

 

例えば、本。

そういえば、私は本に関しては、図書館で借りるということは一切ないんです。

一冊でも多く持っていたくて、本棚の前で並べたそれらを眺めるのが趣味というか(笑)、

部屋が狭いのに、「宝物の一冊になるかもしれない」、「心が潤うのであれば」等々理由をつけて、

多少高くても欲しい本があると無理をして買ってしまう。

 

おかげで今実家には本がぎっしり詰まったダンボールが山積みされている状態です・・・

いつか、天井まで本棚がある家に住む予定なんですけど、

まさに「贅沢貧乏」で、それもまだまだ叶いそうにありません。

 

 

おやすみ、

おはよう

では、また会う日まで

オトザイサトコ