Otona no Kadaitosho

2018.09.7

植本一子『かなわない』(トイプードル通信2016年10月号より)

今月の課題図書は、

植本一子

『かなわない』

 

 

もう10月、、、今年は後何冊くらい本を読めるでしょうか、、、

分からないけど、とりあえず今年読んだ本の中で、私の2016年お気に入りナンバーワンになりそうな本と言えば、

植本一子のエッセイ「かなわない」です。

 

私たちは生活の中で、誰かと接する中で、絶対に自分の感情にベールをかけていると思います。

何もかもさらけ出す事が決して自分にとっても、相手にとっても良くないと無意識に知っているから。

だからどんなに親しい人でも相手の何もかもを知っているなんて思うのは勘違いです。

 

でも、「かなわない」には植本一子さんの日常が心象が、

「こんなに何もかも言っちゃっていいの?」というくらい赤裸々に、

これはもう露悪?と感じるほどに綴られています。

 

思い通りに行かない時、

自分を否定され、

どうしようもなく不自由だと感じる時、

 

「あてつけみたいに生きてやると思った」

 

と言った言葉が印象的でした。

 

そう、同じように思ったことが私もあります。

でももちろん、自分可愛さに、捨てばちに生きることなんてできなくて、

そんな風に思った何日か後には、

忘却の彼方美味しいものを満腹食べていたり、

友達の言葉で嘘のように心が軽やかになったりするのです。

 

じゃあ、「あてつけみたいに生きてやると思った」あの自分は嘘だったのでしょうか。

その刺はなかった事になるのでしょうか。

それは、誰にも語られない小さな出来事、感情の刺。

 

でもそれこそが本当は自分にとって大きな部分を占めている、

日常なのだと思う、私は。

「かなわない」にはベールをかけていない、日常のリアルがあると思います。

だから一つ一つの言葉に心がざわつく。

 

気になった方は、ちょっと覚悟して笑 読んでみてね。

 

おやすみ、

おはよう

では、また会う日まで

オトザイサトコ