Otona no Kadaitosho

2019.10.23

雨と小部屋

明け方に降る雨が

ずっとつづくような顔をして

花は濡れしぼんでいる

 

あかるくもなく

くらくもない

この小部屋は

 

しろくもなく

くろくもない

カーテンと

きみの温かさで充足している

 

皮膚に触れ

ずっとこの内側にあると信じていたものが

もともとなかったのかもしれないと思いはじめ

たのもしいような

こころぼそいような

きもちになる

 

だけど探しには行けないだろう

安定した意識の中でそう思った

 

この雨で花も散ってしまうだろうね

そう言うと

きみは耳のあたりを

とてもさむそうに掻いた

 

また話すかもしれないし

もう話さないかもしれない話をして

顎が重くなってくる

 

今日という日は

はじめてのような気もするし

もう何回もやってきたんだという気もしていた